幸福の先への後語り

えっちなゲームが好きなおたくの戯言

『絆きらめく恋いろは‐椿恋歌‐』感想

総評    ★★★★☆

シナリオ   ★★★☆☆

テキスト            ★★★☆☆

キャラクター ★★★★★

絵〔演出含む〕   ★★★★★   

音楽       ★★★★☆

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椿√のその後のお話という立ち位置でありながら、話としても、キャラクターの活躍具合を見ても本編よりこちらの方が好みだった。

こんなにも楽しめたのはやはり葵と都子というキャラクターが好きだったからだろう、物語におけるこの二人の動かし方が非常に良かった。

話は単に椿とイチャイチャするだけかと思っていたがそうではなく、霊刀をメインに据えた熱い物語がしっかりと書かれていた。

ただ、しおんや夜桜の見せ場があまりなく、これは葵と都子に喰われてしまったからだろう。そのため、しおんや夜桜の活躍が見たかったという方は不満が残ると思う。

また、お話の軸は本編、桜咲√に近いものとなっているため、桜咲√の話が合わなった、もしくは他のヒロインの競技に打ち込むような√の方が好きだったという方にもおすすめはできない。

以下ネタバレで内容についての感想を述べていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 序盤から椿と葵がタッグを組むということで心躍った。というか本作は葵の出番がかなり多い。これは前作、椿√最後で互いに認め合い、仲を深めたからであり、何かと椿の前に現れる。そしてその場面というのも絶妙で、終始良いキャラしていた。

しかしながら椿としては彼氏である刀輝と仲良くする葵に嫉妬心を燃やしていたという。そしてこれが終盤に繋がっていくというのが成程なと思わせるものだった。

 

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椿がそんな醜い感情を抱いてるからこそ純粋な葵の株はますます上がっていく。椿が半妖の影響で耳が生えてしまった時も、友としてそのことの重要性の低さを説いてくれる、なんていいやつなのか。

 

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そしてカグヤの力を借り半ば暴走気味の萌生菜を憧れの先輩として真っ向から受け止め、努力せず他人に力を委ねてしまった彼女を正そうとする。口調はやや強めではあったが、言葉には優しさが含まれていた。

友としてだけでなく、先輩としてもキャラが立っていた。本編で少しでも葵に好感を覚えた方なら大満足だろう、本当に優遇されていたと思う。

 

 

そして本作でもう一人優遇というか活躍の場が多かったキャラクターといえば都子さんだろう。もう何もかもが素晴らしかった。

前作のラストではラスボスとして立ちはだかった彼女が本作で味方となり、無双する。こういった展開が大好きであり、画面にかじりつくように彼女の剣技に見入っていた。

中でも一番かっこよかったのは霊刀を二振りも貰ったのにそれを使わないという点、これが本当に良かった。自分はどんな刀でも戦えるから、だからどんな名刀よりお嬢様の一品を使いたいんだと。都子さんの魅力がぐんぐん上がっていた。

 

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そこから萌生菜を始めとして、しおんと桜夜、椿と葵、そして自分のコピーを一人で斬り伏せていくのは実に爽快だった。しかもまるで指導しているかのように楽しみながらというのが、彼女の最強たる所以を表しているかのよう。

 

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また、フリージアから無数の刀が贈られてきた時のCGが非常にかっこいい。これを見て完全に惚れてしまった。都子さんはフリージアを溺愛しているが、フリージアも同じように都子さんが大好きなんだと、本作の隠れた魅力はここにあると思う。まあ私が都子さんを好きで好きでたまらないだけなのだが。

 

 

物語の要ともなるカグヤについても触れると、霊刀として作り出されたはずが失敗作の妖刀として扱われ、蔑まれる姿を見て胸が痛んだ。そう、これは単なる妖刀の暴走などではなく、霊刀として認めてもらえなかった刀の、女の子の復讐劇だったことがわかる。ふとミュウツーの逆襲なんかを思い出してみたり。

 

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彼女は寂しかっただけなのだ。萌生菜をタッグに誘ったのは利用しやすそうだったからと語っていたが、もしかすると自分と同じような彼女を見ていられなくなった、あるいは一緒に戦うということを経験してみたかったのかなと、ふと考えてしまった。

そんなカグヤが寂しくないように鞘を作るというこれまた素敵で、スッキリとした幕切れをしていたと思う。

 

 

最後にスペシャルのシーンを全て見た後に解放される「Bridal」について、これまで共に戦ってきた二人への祝福であり、私自身も嬉しく思った。久々に熱くなれた作品だった、ありがとう。