ついに発売されたもんむす・くえすとぱらどっくすRPG終章。今年の新作ゲームの中で本作の発売を最も心待ちにしていたというファンも少なくないのではないだろうか。度重なる延期を経て、ようやく発売が決まった作品だ。当然である。ついに発売日が決まると皆こぞって準備を整えたり、話題に挙げたりしていたのがとても印象的だ。
私の場合は数年前にもんむす・くえすと無印をクリアし、終章発売の約一か月前に中章をクリアした身故に、長年待った...というわけでもないのだが、それでも本作の発売が楽しみなことには変わりなかった。というか中章ラストのあの引きを見て楽しみにしないはずもないだろう、予告を何度見返したかわからない。
発売日を迎えてまず最初に驚いたのはその容量の大きさである。圧巻の5.83G。ツクールでこんなに大きなサイズはあまりに見たことがないので、ちょっと笑ってしまった。いや、そりゃあ延期もするわと。恐ろしいのがまだ次のアップデートが控えている現実。もう行くところまで行ってほしい。
さて、発売日前後のお話はこのくらいで、ここからはゲームの内容について感想を述べていきたいと思う。ネタバレは極力避け...ることはできないので、未プレイ未クリアの方は回れ右をした方が賢明かと思う。
ボリュームが凄まじい
まず触れておきたいのはそのボリュームである。容量を見た時からわかってはいたことだが、やはりとんでもなかった。事前に天界√と魔界√は30~50時間ずつくらいかかると発表されていたが、その二つに関しては正直思ったよりも早く終わった。片方をクリアすると、もう片方は半分くらいの時間で終わるような作りになっているので、ここで詰まる人はほとんどいないかと思う。
ただ、上記二つをクリアすることで解放される第三の道(以降混沌√と呼ぶ)はそんな生半可なものではない。
今まで仲間だった者達が散り、地図もリセットに近い状態になる。文字通りまた一から冒険が始まるのだ。まあ頼もしすぎる仲間が最初からいるので、実際にはしっかり続きからの冒険なのだが。
やらなければならない事の多さと戦闘におけるインフレのおかげでまあ終わりが見えない。特に数字のインフレは混沌√で最も印象的だった。億ダメージが出始めて喜んでいたら、その辺の雑魚敵のHPが兆あって絶望したあの瞬間は忘れられない。
けれど、苦労してようやくアミラから「そろそろ...」と言われた時は思わず笑みが零れた。「ああ、もう親方集めしなくていいんだ、図鑑を見ながら祈りつつ素材集めをしなくていいんだ。」正直ラスボスを倒した後よりも達成感があった。
個々のキャラクター達との会話も、最後までたっぷり用意されていて...本当に凄いなと。達成感が云々というよりも先ず作り手の努力量に圧倒された。そりゃあこれだけ時間がかかるわけだ。
シナリオが面白い
本作の魅力は当然、ボリュームだけではない。お話の方までしっかりと血と熱が注ぎ込まれているのだ。嬉しいのが最終章=ひたすらシリアスではなく、これまで築き上げてきたものを大切にしつつ、最終章に相応しいシナリオを用意してくれた点。自分の贅沢な要求にもしっかりと応えてもらったような、そんな感覚だった。
天界√と魔界√に関して言えば、わりとギャグ要素は薄く、今まで以上に両陣営の考え方がわかるお話だったなと思う。これまでの雰囲気とは少し違い、完全に両軍の殺し合いがメインなので、キャラクターもバッタバッタ死ぬ。ユーザーとしては結構キツいと感じる方もいたのではないだろうか。
自分はどちらかというと魔界√が好きかなと。元々、魔界の話&魔界のキャラクターが好きだったというのも大きいが、終盤のキャラクターの動かし方と物語の締め方が好みだった。勿論、失ったものは大きく、主人公の歩む道はひたすらに絶望だが、着地点としてこれもアリだと思う。何よりヌルコがひょこっと出てきてくれたのが嬉しい。
そんな具合で結構キツイ部分がありつつも目が離せなかったのが天界√と魔界√なのだが、混沌√はまた少し違う。先にも述べた通りギャグや癒しの要素も多分に用意されているのだ。ルシフィナやロリアスを筆頭に始まる主人公サイドとは思えないやりとりの数々には何度も笑わせてもらった。
ルカもこれまでは真面目でえっちな男の子といった印象だったが、混沌√に入ってだいぶいい感じに壊れてくれたと思う。それでも基本はツッコミ役なのが恐ろしいというか...軽く思い返しても実に愉快なパーティだった。
そして混沌√はシナリオも面白い。核であり締めとなる部分もまあ面白いのだが、十六事象絡みのお話にも、それぞれきちんとストーリーが用意されていて面白い。中でも印象的だったのは蛭蟲、虚竜あたりのお話。
蛭蟲は六祖の中でも異質な存在だとは感じていたが、まさかこんなストーリーが用意されているとは思ってもいなかった。しかもきちんと蛭蟲のことを磨きつつ、すっきりとさせてくれる構成になっているから嬉しい。作り手の愛を感じるし、アリスフィーズの台詞にも説得力が生まれる。
虚竜についても登場したての頃は、まあポッと出の強キャラくらいにしか感じなかったのだが、読み進めていくうちに単なる悪役ではなく、しっかりと命を吹き込まれたキャラクターであることが理解できた。
決戦を迎える頃にはすっかり情が芽生えていて、やがて迎える最期には涙ぐむ瞬間もあった。クレオ・アドラとの一戦は本作のベストバウトだったと、クリアした今でもそう思う。噂によると今後、実装される二周目モードでは仲間にできなかったキャラクターを仲間にしたり、別の選択が選べるようなので...絶対に仲間になるだろうと思っているし、楽しみで仕方ない。
で、核となる部分...カオスについて描かれた最終シナリオはというと、無論良かった。予想できないオチではないし、驚きや大きな感動があったわけではないが、ルカという主人公が選んだ選択として、これ以上に納得のいく答えはないと思う。
思えばこの章のタイトルは最初から「晴らす者」だった。そこにハッと気付いて眺めるエンドロールは格別に良くて、読み手の心もまさに晴らしてくれた。長年待ったファンであれば、なおさらあの時間は格別だろう。素晴らしき旅だった。
エピローグの会話パートも、この作品らしい超豪華な光景が広がっていて笑ってしまった。30人くらいいるじゃんと思って下まで声を掛けたら、また更に下に列があって驚いた。台詞も焼き回しではなく、キャラクターの今後について触れたり、性格に合わせた用意されたものが用意されているので、満足感も半端ではない。
ちなみにこのパートのMVPはマルケルスおじいちゃん。
キャラクターが愛おしい
最後にキャラクターについて触れておく。というかこれが書きたくてここまでつらつらと文章を書いてきたと言ってもいい。これだけ大人数のキャラクターがいる作品だ、恐らくプレイヤーの数ほど好きなキャラクターの順番があるはずである...ということで、自分の印象深かったキャラクターについてランキング形式で発表していきたいと思う。
10位 サリエラ
顔は怖いが魂は熱いサリエラさん。本当にこの言葉通りで、序盤こそ冷徹無慈悲の死の獄卒だと思っていたら、意外と情に厚くてイリアスのために動くのは勿論、仲間のことを気に掛ける描写も多く用意されていて、物語を読み進めるごとに彼女に対する印象が大きく変わっていった。混沌√で一時的に城を任せた時の安心感...。
9位 コンスタンツェ
同じ勇者としてルカに対抗意識を燃やしているあたり、めんどくさくて可愛い女になるんだろうなと踏んでいたが、結構序盤からデレデレで笑ってしまった。言ってしまえばただ可愛いだけなのだが、年頃の少女らしく自分の恋を叶えようと頑張っている感じが凄くいい。何よりあのルシフィナお母様のお気に入りだ、強力な後ろ盾を武器に戦っていってほしい(女の戦い)。
8位 ミカエラ
中章の頃から好きでずっと育成していた女の子。その立場故に相変わらずルカに対する物言いはきついが、物語が進むごとに砕けて言った印象。それでも完全には砕けずにあくまで自分の信念の下で行動する感じが好きだったなぁと。堕天ミカエラがパーティに加わった時は天を仰いだが、愛で最後までパーティに残留させた。
7位 アジ・ダハーカ
以前ほどの出番はなかったものの、定期的に笑いと癒しを提供してくれる素敵な存在だった。魔界√では即戦力で活躍してくれるし、混沌√ではおバカトリオの一角として雰囲気を和らげてくれた。「強者とは、余裕の笑みを浮かべているもの」とアホそうに言っていたが、ブレずに最後まで自分らしく在る彼女は、紛れもない強者だと私は思う。
6位 ヌルコ
ずっとずっと大好きな癒し枠...と思いきや戦闘能力も一軍並みだから助かる。彼女の会話パートが入るだけで癒されるし、愛おしくなる。今章の魔界√では、モリガンと仲良くしている光景が多く見られ、キャンプではいつも可愛がられていた。混沌√でも仲間になってからは、やはり大活躍で、最後まで愛くるしい存在だったなぁと。
5位 アリス
無印の頃はわりと尖っていた印象だったが、すっかりイイ女になってしまった。天界√の彼女が印象的で、敵という立場でありながらもルカを信じている姿はまさに正妻だった。イリアスと比較すると出番は少なめに感じたが、ここぞという場面で正妻パワーを見せてくるので油断はできない。最終形態も美しいの一言。
4位 たまも
我らがお師匠たまも様。無印では一番好きだった彼女は、ぱらどっくすの世界でもやはり魅力的で、中章ほどではないが今章でも光が当たっていた。ルカだけに優しいのではなく、みんなに優しく、そしてみんなから愛されている。それがたまも様。エピローグでもカオスに対して、たまも様らしい言葉をかけていて、言いようもない充実感が胸に広がった。
3位 ヴァニラ
いつでも商売上手で仲間想いなヴァニラちゃんはずっと変わらず愛おしかった。混沌√突入時の彼女の台詞が地味ながらとても印象的で、仲間集めに対するモチベーションが高かったのも彼女のおかげまである。本筋に大きく関わるキャラクターでないのに、こんなにも好きになってしまうからこのゲームは恐ろしい。
2位 グランベリア
終章をプレイして彼女のことを好きにならない者などいるのかと思うほどには、優遇されているキャラクターだった。熱い死闘を見せてくれたり、魔法少女になったり、ヒロインらしい一面を見せてくれたり...とにかく力が入っていた。また、次元斬を覚えたことにより戦力としても頼りになる。実際、自分のパーティでは最後までNo.2の立ち位置だった。叶うなら彼女の望み通り、これからもルカの隣で剣を振るっていてほしい。
1位 ルシフィナ
栄えある第1位はやはりこの御方。天界√&魔界√では良き母親として感動を与えてくれて、混沌√では面白き母親として笑いを与えてくれる。いや、もう本当にルシフィナ語録を作りたくなるくらいには面白い女だった。
彼女がいなかったら、ここまでこの作品を好きになることはなかったかもしれない。
出逢いに感謝。
おわりに
改めて素敵な作品に出逢えて、楽しい時間を送ることができて、本当に幸せだった。物語は一区切りついたが、まだまだアップデートが残っているので、これからも遊んでいきたいと思う。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。